会社規模の判定基準
非上場株式の評価方式は、会社の規模によって決まります。従業員数・売上高・総資産額の3つの基準で「大会社」「中会社」「小会社」に区分されます。
会社規模の判定基準(卸売業の例)
| 区分 | 従業員数 | 売上高 | 総資産額 |
|---|---|---|---|
| 大会社 | 70人以上 | 30億円以上 | 20億円以上 |
| 中会社 | 5〜69人 | 7,000万〜30億円 | 4,000万〜20億円 |
| 小会社 | 5人未満 | 7,000万円未満 | 4,000万円未満 |
注意: 業種(卸売業・小売サービス業・その他)によって売上高・総資産額の基準が異なります。
類似業種比準方式
大会社に適用される原則的な評価方式です。国税庁が公表する類似業種の上場企業の株価をもとに、1株当たりの配当・利益・純資産の3要素を比較して評価額を算出します。
特徴
- 配当・利益・簿価純資産の3要素で比較計算
- 利益が低いほど評価額が低くなる傾向
- 業績の悪い年に評価すると有利になりやすい
純資産価額方式
小会社に適用される原則的な評価方式です。会社の全資産を相続税評価額で評価し直し、負債を差し引いた純資産額を発行済株式数で割って1株当たりの価額を算出します。
特徴
- 含み益が大きい資産があると評価額が高くなる
- 含み益には37%の法人税等相当額を控除可能
- 不動産を多く保有する会社に影響大
配当還元方式
少数株主(同族株主以外)に適用される特例的な評価方式です。過去2年間の配当金額をもとに評価するため、一般的に評価額が低くなります。
計算式(簡略版)
1株当たりの評価額 = 年配当金額 / 10% × 1株当たりの資本金等の額 / 50円
評価額の引下げ対策5選
1. 役員退職金の支給
退職金を支給することで純資産が減少し、利益も圧縮されるため、評価額が大幅に下がります。
2. 設備投資・不動産購入
現金(時価=相続税評価額)を不動産(時価>相続税評価額)に変換することで、純資産価額を圧縮できます。
3. 配当金の引下げ
類似業種比準方式の3要素の一つである配当金を下げることで、評価額を引き下げられます。
4. 生命保険の活用
法人契約の生命保険に加入し、保険料を損金計上することで利益を圧縮。死亡退職金の原資にもなります。
5. 持株会社・従業員持株会の活用
株式の分散や持株会社への移転により、評価方式の変更や株価の圧縮が可能です。
事業承継税制との関連
事業承継税制を活用すれば、非上場株式にかかる相続税・贈与税の納税が猶予・免除されます。特例措置では全株式の100%が猶予対象となり、後継者の税負担を大幅に軽減できます。
一般措置と特例措置の比較
| 項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 対象株数 | 2/3まで | 全株式 |
| 猶予割合 | 80% | 100% |
| 後継者 | 1人 | 最大3人 |
注意: 事業承継税制の適用には事前の計画策定や各種要件の充足が必要です。要件を満たせなくなった場合は猶予税額の全額納付が求められるため、慎重な検討が必要です。